知識と情緒のファンタジー
豊穣の王と、過ぎ去りし夏の香水師
完結短編

香りは記憶を、論理は過去を調合する。
あらすじ
秋の国フェルン・ラントの若き王ギルベルトは、触れるものすべてを燃やす『夏の呪い』に蝕まれ、宮廷から隔離されていた。 彼を診るべく夏の国から派遣された調香師アルテは、絶対嗅覚で王の熱と孤独を冷静に見つめながら、望まれることのなかった自分自身の孤独と、彼のそれが重なっていくのを感じ始める。 だが、大豊穣祭の夜、王を廃位に追い込もうとする叔父ラドクリフの陰謀が牙を剥き、暴走する熱がすべてを焼き尽くそうとする。 己の身を焦がしながら王を抱き止めたアルテは、やがて呪いの正体が十三年がかりで仕込まれた罠だと突き止め、離宮を包み続けた霧の奥に隠された真実を暴く。すべてが明らかになった時、二人の孤独は確かな絆へと変わっていた。
ソリスピア